地形学の視線で見たこと,感じたこと


by kumakuma1103
アナグリフ画像をしっていますか?
右が青で左が赤のメガネをかけると
画像を立体的にみることができます.
さきほど白川郷・五箇山の合掌造り集落の
アナグリフをつくったのでアップします.
授業で,地すべり地形と段丘地形の違いを紹介したいと
思っています.

五箇山相倉集落(上が北)
d0179225_1254398.jpg


五箇山菅沼集落(上が北)
d0179225_12543719.jpg


白川郷荻町(これだけ右が北)
d0179225_1255332.jpg

[PR]
# by kumakuma1103 | 2010-07-05 12:56 | 授業 | Comments(0)

合掌造りの家の向き

今年の「日本地誌」の授業では,国内の世界遺産を事例に,
自然環境と人々の暮らしの関係をみています.
といっても,これは自分の専門と必ずしも被っていないので,
知識の蓄積がないことが多く,
授業準備で毎週苦しんでいるのも事実です.

今日から「白川郷・五箇山の合掌造り」を
取り上げようと思っています.
自前で資料が揃っている
専門の活断層の分布からみてみると,
実は白川郷荻町は,活断層(御母衣断層)にかなり近いんですね.
知りませんでした.

この断層,1586(天正13)年に起こった
飛驒地震の震源断層の候補として考えられているようです.
『日本の地形中部 p220』
もしそうなら,当時から五箇山・白川郷に合掌造りがあったのなら,
倒壊していたでしょうね.
ただ.飛驒地震の震源断層が御母衣断層と
必ずしも特定されていないので
授業では話さないと思います.

合掌造りといえば,家の構造に注目が集まりますが,
地理屋の自分としては,
家の向きに系統性があるのかどうかが気になります.
それで,まずは,空中写真でみてみることにしました.
今は,国土交通省の国土情報ウェブマッピングシステムから
ほしい地域のカラー空中写真のデータ,
しかも高解像度(400dpi)を
簡単に手に入れることができます.

で,とりあえず,世界遺産に登録されている三集落から.
なお,3枚とも1977年に撮影されているものです,
写真の上がだいたい北です.
五箇山相倉
d0179225_6152350.jpg


五箇山菅沼
d0179225_6161673.jpg


白川郷荻町
d0179225_615494.jpg


ところで,試しにgoogleで
「合掌造り」「家の向き」で検索すると,
棟が南北で,屋根が東西向きになっていることが多いとする
意見が多いようです.
理由として,屋根が南北向きだと,
日の当たらない北側が湿っていて
腐りやすいから,
逆に東西向きだと日があたりやすいなど
日照を理由にする意見とともに,
風の受ける面積を少なくするという理由もあるようです.

いずれも納得する理由なのですが,
空中写真を見ていると,
荻町と相倉は
確かに東西向きの屋根の家が多いようですが,
菅沼では,南北向きの家も目立ちます.
共通の特徴としては,川の流れに対して
直交する向きに屋根をつけるように建物が配置されているようです.
とすると,川筋に沿って風が吹くことが多いでしょうから,
屋根に直接風が当たらないように配慮している気がします.

庄川沿いの合掌造りの家屋全部を対象に
家の向きについてきちんと調べた論文があれば
それを引用して紹介すればよいのですが.
調べていないのでわかりません.
これまた授業ではつかえないネタのようです.

話は変わります.
相倉を段丘面上の集落とする解説が多いのですが,
写真判読をする限り,
地すべりの滑落崖下の凹地や移動する地塊に集落があるようです.
というのは,
1)馬蹄形の滑落崖がみられること,
2)庄川沿いに小高い丘(移動地塊)が見られることです.
他の二つの集落は段丘上に立地しているでよいと思います.
[PR]
# by kumakuma1103 | 2010-07-05 06:34 | 授業 | Comments(0)

高崎市立図書館にて

今日は,だいたい2週間に1度通っている,
高崎市立図書館へいきました.

この図書館,
まあ自分の専門の地形学や地質学に限っての話ですが,
かなり品揃えがよいのです.
今年1月に発行された
日本列島の地形学」もすでに置いてあります.
図書館の職員の方の中に,
この分野が好きな人がいるのでしょうか?

この図書館のすごいところは,
基本的に1週間いつでも空いていること,
月曜日を除く平日が夜7時まで空いていることです.
ユーザーフレンドリーな施設だと思います.

いつ行っても,人が多くて,にぎわっていることです.
まあ館内が狭いからというのもあるでしょうが,
県内の他の図書館よりも人が入っている感じがします.

なお,市役所近くの街中に移転が決まっていて
現在,新築工事がはじまっています.
これだけ多くの人が集まるのですから,
空洞化しつつある街中の活性化に
役立てることもできるはずです.

ちなみに,何の本を借りているのか?
授業準備で必要な本を借りています.
前期では,日本国内の世界遺産の特徴を
地理学的な視点・見方から講義する授業をしています.
子供向けの本が
わかりやすいイラストを使っていて,
文章ばかりの本よりも,
よほど授業に使えるのです.

授業の中身についてはまた後日.

ちなみに,今日は,社会専攻のYさんが
図書館のアルバイトとして,
窓口で働いていました.


[PR]
# by kumakuma1103 | 2010-07-03 22:04 | 雑記 | Comments(0)

金井宿の分水石

kumakumaです.

はじめはやる気があって
更新しがちです.

大学院の授業では,
毎週フィールドに出て
地形と街道の関係を調べています.
まあ,ブラタモリに近い雰囲気ですが.

さて,6月24日には
三国街道金井宿にいってきました.
これは,八木原宿での聞き取りの際,
金井宿には地下牢があると伺ったからでした.
d0179225_1516838.jpg

解説は下記で.
d0179225_1516221.jpg



むしろ自分が気になったのは,
金井宿の周囲に宿場用水がきちんと残っていて
これまた豊かな水が流れていることです.
d0179225_15315984.jpg


道の両側に並ぶ家屋の背後に用水を通すために,
宿場の上流で水を二つに分けています.
d0179225_15225795.jpg


拡大すると,昔からある分水石がみえてきます.
d0179225_15242989.jpg


解説はこちら
d0179225_1524524.jpg


当たり前のことですが,
川が下流に向かって分岐することは
最下流の三角州以外ほとんどありません.
水の流れが下流に向かって二つに分かれることは
人為的な働きがあると思った方がよいと思います.

さきほどの写真も
見るからに人為的な構造物ですが,
下流に向かってわかれているという
指標からも明らかです.

さて問題はこの水はどこから手に入れていたのか?
現在,宿場からすぐのところで暗渠になっているので
わからなくなっています.
宿場の北を流れる登沢川からだと思いますが,
金井宿は,川から20-30m高い
扇状地性の段丘の上にあって
水を得ようとすると大分遠くから
水を引いてくる必要があると思います.

限られた時間
水源を求めて歩いたのですが,
諸事情もあり断念してしまいました.

水を安定的に確保するために,
過去の人々がどのように知恵を働かしたのか
検討してみるのは面白そうだなと思っています.


[PR]
# by kumakuma1103 | 2010-07-03 21:42 | 授業 | Comments(0)

はじめまして

はじめまして

kumakumaです.

群馬大学教育学部で
地理学,地形学を教えています.
最近,情報発信を問われるようになり,
まずはブログでもはじめようと思いました.

根がズボラなので
どこまで続くかわかりませんが,
日々の日常,
特に,授業や研究について
写真を交えて紹介したいと思っています.

まずは1枚の写真から.
大学院の授業での一コマ.

d0179225_1221632.jpg

群馬県渋川市にある近世佐渡奉行街道の
八木原宿です.
残念ながら当時の面影を残す
家屋は少ないのですが,
宿場用水がしっかり流れています.

宿場に着くなり,受講生の一人D君が,
「用水が北に向かって逆に流れている」との
鋭いコメント.
確かに,この付近の利根川は
北から南に流れているので,
見かけ上逆流しています.

その後,宿場に面した家の方から,
実は,この水路,地元で「八木原の逆水(さかさみず)」と
呼ばれていることを伺い,
一同びっくり.

戦後直後の米軍撮影の空中写真で
写真判読すると,
八木原宿は榛名山の火山麓扇状地の
扇端に近いところに
等高線に対して平行に立地しています.
扇状地中央の川が流れているところが
一番高く両側に徐々に低くなっています.
その勾配を利用して
水路をつけているために
見かけ上逆流しているように見えるのです.

地形と人々の暮らしの関係を
自分の足でたどりながら
紹介していこうと思います.


[PR]
# by kumakuma1103 | 2010-07-02 12:01 | 街道・用水と地形 | Comments(0)