地形学の視線で見たこと,感じたこと


by kumakuma1103

石油パイプと活断層

来週いくブータンで少し話をしないといけないので,
活断層研究の意義を考えています.
今用意しているのは,
2002年に起きたアラスカのデナリ断層の活動によって
発生したM7.9の内陸地震の時の話.
この時,人が住んでいない地域で起きたため
人的被害はありませんでした.

結論からいうと以下の通り.
活断層を横切る原油パイプが計画され,
設計当時から,断層がもし動いたときに
どこでどのような動きをするかを把握し,
断層を横切る箇所に特別な対策を用意していたのです.
実際にこの断層が動いて,この予測通りに動き,
しかも対策もうまく働いて,
結果として見事原油を漏らさなかったという話.

この原油パイプは,
北極海から太平洋東海岸にかけてアラスカを縦断するもので,
1977年から供給がはじまりました.
アラスカを横断するので,
どうしてもいくつかの活断層を横切る必要があり,
アメリカの地形地質学者のグループが
このデナリ断層について調べたのです.
調査結果の図は下.
d0179225_11591699.jpg

(出典はこちら
TAPS(Trans Alaska Pipeline System) Routeというのが
原油パイプのこと.

特別な対策とは,地盤が動いてもスムーズに動けるように
鉄のレールの上に,固定しないでパイプを置いていたことや
平面形状をジグザグにして伸びしろを考慮していたことです.
d0179225_126358.jpg

(出典はこちら

横切る場所で
断層の動きは
右に6.1m,上下に1.5mと予想していて,
実際には
右に5.5m,上下に0.8m動いたのです.
断層が生じる場所もほぼ正確でした.
d0179225_127656.jpg

(出典はこちら

ただし,変位量の推定は,
横断する付近の変位地形の最小変位量から求めたのではなく,
過去の地震断層の変位量から間接的に求めたようですが.

ともかく,
地震被害を最小限にとどめたのは
すごいことだと思いました.
下の図は現在の様子
Google earth画像
d0179225_128810.jpg

緯度経度は,N63°23'08.55", W145°43'56.15"

翻って,ブータンも今後
水力発電やその関連施設,送電線などの
インフラが少しずつ整備されると思います.
その時に,活断層図があれば
断層からできるだけ離れてつくることや,
断層を横切る場合も最小限にしておくなどの
配慮が可能になると思います.
原油パイプの例のように
特別な対策は無理にしても
被害がおこりうるところを事前に把握しておけば
復旧作業も容易だと思います.

ところで,この原油パイプの計画時の調査は1972-74年頃.
当時から論理的かつ実証的に研究していたんだと
改めて感心しました.
Commented by Douglaswheva at 2018-10-24 16:38 x
http://vioglichfu.7m.pl/index.php?n=25&id=357849
<a href=http://vioglichfu.7m.pl/index.php?n=25&id=196780#>cheapest generic cialis</a>
<a href="http://vioglichfu.7m.pl/index.php?n=25&id=93079#">cialis and rosacea</a>
名前
URL
削除用パスワード
by kumakuma1103 | 2010-08-02 12:14 | 活断層 | Comments(1)