地形学の視線で見たこと,感じたこと


by kumakuma1103

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群馬地理学会巡検

(長文注意)
今日は,群馬地理学会の巡検.
旧富士見村を対象とした巡検でした.
以下写真を中心に報告します.

まずは,富士見温泉脇で
今日の流れの説明.
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中央黒の帽子の方が
巡検を案内して頂いた
高崎高校のU先生.

はじめは,
養蚕農家のお宅へ.
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蚕と桑の葉をいれる篭がゆっくりと動きます.
右手奥の方が桑の葉をいれるところで,
動くことにより一箇所で桑の葉を与えることができる
要するに効率化をめざした設備です.
このお宅は,別にハウスで,
トマトやなすの苗を作っているそうです.
僕の家庭菜園の苗ももしかしたらこの宅のものかもしれません.

次は珊瑚寺.
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旧富士見村にある天台宗のお寺です.
ちなみにU先生はここの副住職.
今日は法事が入っていなかったため,
住職から直々に珊瑚寺の歴史について学びました.
なぜ山なのに珊瑚寺なのか?
だれでも不思議に思う名の由来も
もともとは密教系仏具の三鈷(さんこ)からとか.
ただ,ホウキタケがよくとれて,
そのキノコが珊瑚に似ているからとも
おっしゃっていました.
その後境内を散策.
清水が湧いていました.
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火砕流台地?の開析谷脇に珊瑚寺があるので,
その谷の先端の台地の縁から湧水しているようです.

次に,今度は別の農家のお宅へ.
ここが僕的には一番興奮しました.
それは水路の利用が
複合的で合理的だったからです.
この農家は尾根にあって,
用水路が川の上流から分派して
この農家の脇を流れています.
ちょうど,農家のところで,
水路に落差が付けられています.
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この農家は戦時中まで
蚕種をつくっていた農家でした.
蚕種とは何か.
それは,一般の農家が養蚕をするときには
まずこの蚕種を購入して蚕を飼育するのです.
なお,このお宅は,軍部による統制により
蚕種業を廃業しました,
さきほど水路の落差を利用して水車を回し,
それで電気を起こして夜の給餌作業を行っていたとのこと.

蚕種はデリケートな商品.
生産する条件としては,
夏期孵化を遅らせるために
冷涼な環境が用意できること.
蚕の伝染病を防ぐため,
与える桑の葉なども
周囲から離れたところにあること.
が挙げられます.
(もちろんまだあるかもしれませんが)

この農家では,近くの池で冬季氷をつくり
それを夏まで保存して利用していたとのこと.
下の写真は,その蚕種を作っていたところ.
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家の北側にあり比較的涼しい環境です.
桑も人里離れたところでつくり,
できるだけ病気がないように心がけていました.
忘れ去れた工夫がいろいろあるようです.

その後,椎茸の栽培をはじめたそうです.
椎茸の原木栽培で,
下の写真のように,
まず菌をうちこんだ原木を
水につけるようです.
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僕の祖父も椎茸を作っていましたが,
原木を水につけるようなことはしていませんでした.
それで,お宅の方に尋ねると,
ハウス栽培なので,一旦原木をハウスに入れると
雨水がはいらないので,最初にしめらせているのこと.
確かに祖父のは林の中に
木を組んでほったらかしていたので
納得です.

ここで記念写真.
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水車跡にあったオブジェがこちら.
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このカエルは,なぜか口から水がでています.

地形的な視点から見ると,
尾根に水路があるということは,
これはすべて人為的に作られた水路です.

あとは,ザゼン草生育地,メロディーライン,
開拓地を車窓から眺めた後,
赤城大沼からの用水路を見学.
ここは水を正確にわけるために
円筒分水を行っていました.
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水路を堰き止めて分流するタイプは,
両端と中央とでは水の勢いが違うので,
結果として不均衡となります.
この円筒分水だと円周上に水がでていて,
しかも勢いが均質なので
正確に分水できるという仕組みです.
農業用水が貴重あるいは
喧嘩の種だった頃の工夫です.

昼はとんとん牧場にて.
午後は,県内最大の養豚経営をおこなう
林牧場の専務さんから
この牧場の経営の特徴や県内の養豚事情について
要点を押さえたわかりやすい説明を受けました.
印象としては,この牧場は,畜産農家ではなく,
アグリ(バイオ)ビジネス企業とい言葉がふさわしいと思いました.
僕たち地理屋は,経営が成功しているのは,
いい地理的条件であるからと考えがちです.
ここ赤城南麓は消費地に近い点,
外国産飼料の荷揚げ港にやや近い点ではよいものの,
夏高温多湿,冬低温乾燥という養豚にとって
環境がかなりよくない条件とのこと.
それを補うために最新鋭の設備を導入して,
施設外の環境の影響を
施設内に及ばないようにしています.
ちなみに,写真は車に置き忘れたためありません.

あと富士見温泉脇に併設されている
産地直売所を見学し,
責任者の方の説明を受けました.

で,実は巡検のメニューとしては
コミュニティーバスに乗ることになっていたのですが,
僕はキャンセルしてすぐに温泉にはいりました.
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バスに乗り込む参加者.

各ポイントごとに,
そこで働いている方からの説明を生できくという
地理巡検の王道を感じた一日でした.
生産する場所で話をきくことは,
理解が増す一番の方法だと思います.
このような巡検で大変なこと.
それはきちんと段取りをして
だれにどこでいつ話してもらうか
を考え,準備すること.
それを周到に用意できる力こそ
地理の教員に必要な資質だと思いました.

準備をしていただいたU先生.
お世話になりました.
(実は,U先生と僕は,
大学,学部,専攻が全部同じ.
なのでU先生は僕の大先輩にあたります.)
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by kumakuma1103 | 2010-07-31 23:16 | 群馬の地理・温泉 | Comments(2)

ブログへの訪問者数

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先々週  7月11日〜17日
先週   7月18日〜24日
今週  7月25日〜31日
(今日は30日なのでまだ数は伸びる可能性大,
また31日はまだ0)

過去の数は消えていくので記録として載せます.
一日15人ぐらいで安定していますかね.
いつも見ている方ありがとうございます.
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by kumakuma1103 | 2010-07-30 22:35 | 雑記 | Comments(0)

すいかパーティ2

前の記事でスイカを持って行くと伝えましたが,
昨日3コマ終了後7名集まってくれました.
(W君,Tさん,Mさん,O君,N君,Kさん,Ha君)

前回のもってきたスイカよりも
熟れていておいしかったです.

ということで写真で報告します.
撮影はすべてTさん.

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KさんとHa君

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N君とHa君

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僕と,この日ちょうど誕生日だったO君.
(僕からのプレゼントは巨大キュウリ3本とカボチャ)

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皮の際まで食べるMさん.
(いいのかな,載せても?だめなら連絡下さい.)

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たまたま隣のコピー室にきていたM先生にもお裾分け.
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by kumakuma1103 | 2010-07-30 22:25 | 雑記 | Comments(0)

ブログ

ちょうど3年前まで
ブログをやっていました.
個人のブログではなく,
当時勤務していた博物館のブログでした.

そのブログはこちらから.

併任の館長を含め,
たった4人しかいない博物館でしたが,
それぞれ独自の視点で
情報発信をしようと考え,
メンバー共通のブログをはじめました.
ブログの良さは速報性なので,
博物館の活動や
見学した人へのフォローを
すばやく伝えることができる点で,
博物館の仕事の主軸にあたるのかもしれないと
思っていました.

僕自身,1年間で博物館を離れたので
偉そうなことはいえませんが.
今でもブログが続いていて
うれしい限りです.

新しくはじめたこのブログも
実は意外と意味があるのでは思っています.
そのことを書きたいのですが,
まだはじまって1ヶ月もたっておらず,
もしかしたら続かないかもしれないので,
やめておきます.
半年続いたらその意味や効果について
書いてみたいと思います.

今日は写真なしと思ったけど
先日みかけたおもしろ写真を.
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by kumakuma1103 | 2010-07-30 10:37 | 雑記 | Comments(0)

耳無し

朝新聞についてくる某薬局の広告をみると,
なにやら怖い文字が...
「お盆用 耳無し」
「心まちセット 耳無」

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結局何のことかわからず,
「耳無」で検索すると,
耳無し芳一のことばかり.

「お盆」「耳無」で検索すると,
どうやらお盆の時に使うもののようで
まこもという植物でつくった敷物のことを
指すことがわかりました.
なぜ耳無なのか?

-----------------以下引用
お盆にまこも(真菰)を使う由来をご存知ですか?
昔からインドやスリランカでは、
盂蘭盆会の供物を葦で作った船に乗せて河や海に流していました。
 それが飛鳥時代に日本に伝わり同じ水生の植物で手に入りやすい真菰で
船を作り精霊流しを行ったのが期限とされています。
 耳付の真菰は船を作った工程の名残で、
耳無の真菰は船の船首・船尾部分を切った形です。
-----------------以上引用終わり(引用先はこちら

耳付きの商品は(こちら

新生活と似たような話ですが,
耳無だけが文字にされているので,
まこもの敷物のことを知らない人には
びっくりします.
「心まちセット 耳無」って冷静に見たら
変ですよね.
少なくとも広島にはない言葉です.
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by kumakuma1103 | 2010-07-29 09:13 | 群馬の地理・温泉 | Comments(0)

野菜とすいか

立て続けに投稿ですが,
明日,スイカをもっていきます.
今度はもっとおいしいと思います.
3コマ終了後食べたいと思いますので
空いている方は地理研へ.
ついでに野菜ももっていきます.
たいしたものはありませんが.
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by kumakuma1103 | 2010-07-28 21:01 | 雑記 | Comments(2)

地図の整理

午後は,
Ha君(従来のH君)にお願いしていた
5万分の1地形図の整理が
終わりそうなので,
僕もお手伝いをして
整理の完成をめざしました.
スペースのとれるA311教室でやったのですが,
たまたま勉強していたW君とU君にも
流れでお手伝いしてもらうことになりました.
地図を整理していると,
「恵曇」「檮原」「温泉津」の読み方も
学べたのは良かったかな?

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結局,5時前までひたすらやっていました.
みなさんお世話になりました.
明日僕がインデックスをつくれば完成です.
実は,まだ2万5000分の1地形図の整理が残っていて
単純に5万分の1地形図の4倍の枚数があります.
5万分の1地形図でも結構大変だったので,
なかなか踏ん切れませんね.

地名の読み方
「えとも」「ゆすはら」「ゆのつ」
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by kumakuma1103 | 2010-07-28 20:55 | 雑記 | Comments(0)

地図折り

今日のお昼に,
8月の地理学実習に参加する2年生に向けた
ガイダンスがありました.
実習に向けての連絡事項を伝えた後,
実習で使う5万分の1地形図「草津」図幅を折る作業をしました.
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上級生の指導で,折り方を学ぶHo君.
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折った地図をもつHo君.
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最近では,地形図の緯度経度の表示方法が
世界測地系に移行した関係で,
1枚の地図の余白が小さくなっています.
そのためこの折り方ができる地形図はだんだん減っているのですが,
5万分の1地形図は前のままの余白の大きさです.
知っておくと,地理を学んだ学生だなと思わせることができます.
(どこで自慢できるかはしりませんが)
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by kumakuma1103 | 2010-07-28 20:46 | 授業 | Comments(0)

ブータンへ

来月3週間ほどブータンへいきます.
偶然私の知人が
氷河研究プロジェクトのため
ブータンに駐在していて
彼を通じて
僕もそのプロジェクトに
参加させてもらうことになりました.
僕の専門は活断層なので,
ブータンの活断層について
調べてこようと思います.

突然ですが質問です.
下の図はどこの地図で,
どこでつくった地図でしょうか?
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ってわかる人もほとんどいないでしょうから,
正解は,ブータンとインドの国境あたりの
20万分の1地形図です.
キリル文字で地名がかかれている
旧ソ連製の地図です.

これは,旧ソ連がアジア各国を中心に
軍事目的で作成した地図で,
現在は一般に公開されているものです.
ブータンではどのような地図が使えるのか
よくわからないので
とりあえずコピーを入手しました.

ところで,この地形図がどこで手にはいるか.
岐阜県立図書館
簡単に入手できます.

この地形図の縮尺は20万分の1なので
東大出版会から出ている
日本の活断層」の地図のスケールと同じです.
とりあえずブータン全域
20万分の1スケールの地図上で
断層の分布が示せれば,
調査は成功かなと思っています.

ちなみに上の地図の場所はいったことがあるので,
写真を探したらその付近で撮影した写真がありました.
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今から11年前の99年10月に撮影.
写真に写っている人は,
T君の言葉を借りると,お師匠様です.
当時,僕にとってははじめてきた場所ですが
N先生にとっては,
院生時代たった一人で歩いたフィールドに
約30年の月日を超えて
そのフィールドに再び戻ってきた日だったのです.
また再びここに立てるとは思っていなかったとのこと.

この写真はただの記念写真ではありません.
世界的に有名な地形です.
写真の右側がヒマラヤ山脈,左側がブラマプトラ平野となります.
奥に見える平坦面は段丘面なので,
普通は山側が高いはずですが,
ここでは左側の平野側が高くなっています.
いわゆる地形面の逆傾斜.
段丘末端に活断層があるという
地形学的な証拠です.

ブータンの地形図から
かなり話が外れましたが
まあいいでしょう.
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by kumakuma1103 | 2010-07-27 19:55 | ヒマラヤ | Comments(0)

新生活って何?

少し前ですが,
近所の方が亡くなりました.
そのとき,隣の方から
「新生活で香典しますか」と尋ねられ,
全く理解できずに頭の中は???.

よくきいてみると,
お返しがいらないということらしいのですが,
お葬式に,新生活ってなんだか
不謹慎な感じがします.
これが当たり前な群馬県民なら
違和感はないのかもしれませんが.

それで,google検索で
「新生活,群馬」とやると,
(「新生活」だけだと
新婚や就職などの内容ばかり)
このサイトがトップになります.

新生活の話だけでなく,
群馬の独自性?を
他県出身者の目から取り上げた
(個人的には)秀逸なサイトです.

あとは,高崎市のホームページにも
新生活についての情報がありました.
正式には新生活運動というらしいですね.

で,新生活運動をキーワードに
検索をかけると,
栃木県足利市や埼玉県入間市などの
北関東の地方自治体のホームページが
引っかかりました.

昭和30年代
全国的に「新生活運動」が広まった(柳井 2002
ようですが,
google検索をみるかぎり
北関東にその風習が
比較的残っているようです.
群馬あるいは北関東で
新生活運動が,なぜ残っているのか?
ほかに残っている地域はあるのか?
あるとしたらどのような共通性があるのか?
新生活運動の中身に地域的な差異はないのか?
そもそも昭和30年代どのような経緯で新生活運動がはじまり
全国的にはどのように普及したのか?
そして,なぜ衰退したのか?

社会学的な研究内容ですが,
地理学的なアプローチでできそうな気もします.
まあどこかにきちんとまとめた論文が
あるのかもしれませんが.
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by kumakuma1103 | 2010-07-25 21:42 | 群馬の地理・温泉 | Comments(0)