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地形学の視線で見たこと,感じたこと


by kumakuma1103

花の性 その進化を探る

タイトルの本を読んでいます。

著者は矢原徹一さん。
九州大の生物学・生態学の教授です。

単なる論文の紹介ではなく、
どういうきっかけで研究テーマをみつけ、
そのテーマにあった研究方法を
どのように決めたのか。
そういう裏話は読んでいて
面白いですね。

この人は地理的な思考ができる方で、
フィールドの設定の仕方も、
どこで調べれば、
知りたいことが一番わかるのかということを
考えた上で決めています。

植物の中には、
近い種なのに有性生殖型と無性生殖型に
わかれているものがあります。
この二つの種が交雑して、
いろいろな雑種ができるモデルを検討するためには、
この二つが近接して生育している
ところを実際に探す必要があります。

地図にそれぞれの種を落とすことで、
分布を明らかにし、
集約的に調査すべき地点が
どこかを決めています。

現地に行ってみると、
すぐに目当ての中間型がでてきて
心の中で歓声を上げたと
書かれています。

活断層もそれに近いところがありますね。
空中写真でみているので、
現地に行っても断層地形があるのは当然ですが、
写真を見ないで
ついてきた人にとっては
手品のように見えるようです。

本の後半はかなり難しいのですが、
論理はすっきりしていて、
なるほどです。
もともとフィールド派なのですが、
あまり得意ではないと言われている
数理モデルにも果敢に挑戦しておられていて、
すごいなと思ってしまいます。

フィールドで植物の同定ができて、
モデルもできる生物学者って
最強だなと思いました。

昔、学部生の頃
「植物の世界」というシリーズものを
ひたすら買っていましたが、
全くの無駄になりました。
植物と地形の関係は面白そうなんですけどね。

ある植物のすみわけを地形・地質で説明するのは
よくありますが、逆のパターンがあれば
やりたいですね。
つまり、特異な地形の成立に
植物あるいは生態系がかかわっている場合ですね。
サンゴ礁はまさにその例ですが。

新たなインド仕事に疲れて
雑文を書いてしまいました。
by kumakuma1103 | 2012-09-28 17:38 | 雑記