人気ブログランキング | 話題のタグを見る

地形学の視線で見たこと,感じたこと


by kumakuma1103

連載その1【中山道とは】

第1回 中山道とは
 中山道は,江戸と京までの内陸部を経由する幹線的な街道で江戸幕府が制定した五街道の一つです.ちなみに,他の五街道には東海道,奥州街道,日光街道,甲州街道があり,五街道すべて江戸の日本橋を起点としています.
連載その1【中山道とは】_d0179225_10273136.jpg
「木曾海道六拾九次内」の版画より渓斎英泉作「日本橋雪之曙(1837年頃)」#次回以降は作者とタイトルのみ表示



幕府が街道を整備した理由は,後の回で述べる予定ですが,実質的には大名・旗本の参勤交代,江戸と地方を結ぶ物資輸送,民衆の社寺参詣で利用されていました.
 中山道は,現在の東京,埼玉,群馬,長野,岐阜,滋賀の各都県にあたる武蔵,上野,信濃,木曽,美濃を経て,近江の草津宿までです.
連載その1【中山道とは】_d0179225_1035269.jpg




日本橋から草津宿までの距離は約508kmで,その間に,旅行者が宿泊したり,荷物を別の馬などに載せ替えたりできる宿場は67宿ありました.なお,京へ行くためには,草津宿で合流する東海道を利用することになります.
 江戸と京との距離は,東海道のみを利用した場合約495km,中山道を利用した場合約534kmとなり,東海道を利用した方が約40km短いことになります.多くの場合,旅行者や物資は,東海道を経由して江戸-京間を行き交うのですが,中山道も使われることも多かったようです.なぜ遠回りで山がちな中山道が使われたのでしょうか.

理由として考えられるのは以下です.
1)川止めが少ないために旅程が立てやすいこと.
2)長野盆地にある善光寺へ参詣する通り道のため.
3)東海道の景観とは大きく異なり山岳地域の風光明媚な風景を楽しめること.
4)夏期は冷涼な気候なので歩きやすいこと.

《参考文献》
豊田 武・児玉幸多編 1970.『体系日本史叢書24 交通史』山川出版社.
丸山雍成・小風秀雅・中村尚史編 2003.『日本交通史事典』吉川弘文館.
菅原真弓編 2001.『歌川広重・渓斎英泉「木曾海道六拾九次内」』(財)中山道広重美術館

4月25日追記
by kumakuma1103 | 2011-04-12 10:37 | 中山道